保育士資格は、「児童福祉法」第18条の4に規定される国家資格です。「児童福祉法」では、「保育士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、児童の保育及び児童の保護者に対する保育に関する指導を行うことを業とする者」と定義されています。名称独占資格と呼ばれ、資格を持っていない人が保育士を名乗ることはできません。保育士は、女性にとって、出産・育児でキャリアがとまるのではなく、逆に子育て経験が活かせる職業です。50代、60代でも、ブランクを経て現場復帰したり、初めて保育士として働き始める方も多いところをみれば、年齢に関係なく続けられる職業といえます。女性が多い職場ですが、男性保育士のニーズも高まってきています。
保育士は、国家資格化以前から保育の専門家としての役割を果たしてきましたが、近年は地域の子育て支援の専門職としての役割にも期待が高まっています。女性の社会進出が進み共働きの家庭が増え、保育士は保護者より長く子どもと接する場合もあります。子どもへ与える影響も大きく、子どもの成長に対して重要な役割を担っています。また、昨今では核家族化が進んで身近に子育て相談ができる人がいない親も増えており、子育て相談できる保育のプロとしても必要とされている存在です。
子どもの最善の利益を考慮し、子どもの生活や発達を見通したうえで、長期的視野・短期的視野で計画を立てて保育をするのが保育士の専門性です。発達に対しての理解や、保健衛生知識、保育技術、特別な配慮が必要な子どもに対しての専門的知識などをふまえ、保育にあたります。また、その専門性を生かし、子どもの保護者に対する保育に関する指導を行います。さらに、自身の日々の保育を振り返り、評価し、改善をします。
保育士には子どもが大好きな人が向いているといえます。子どもたちと身近に日々接することになるので、子どもに対する保育士の影響力は大きいといえるでしょう。そのため、笑顔や挨拶、マナー、ルールを守ることなどを大事にする姿勢が必要ですし、常にその姿を見られているという意識や心がけが必要です。さらに、保育士は子どものほかにも保護者への対応を行ったり、他のスタッフと連携して保育を行ったりする必要がありますので、コミュニケーション能力も大切です。また、子どもたちの気持ちに寄り添ったり共感したりできる柔軟な感性も求められます。
職場にもよりますが、保育士は低年齢児の保育を行いますので、子どもたちの成長著しい時期に接することができます。昨日できなかったことが今日になって上手にできるようになったり、泣いてばかりだった子が笑顔で遊べるようになったりと、子どもの成長を間近で見られるのがやりがいにつながると考えられます。また、幼稚園と保育所を比べた場合、一般的に保育所の方が開所時間が長いので、より長い時間子どもと接することになりますので、子どもを見守ることができる時間が長いというのが保育所で働く保育士の楽しさといえるでしょう。
一般的には、保育士は保育所で働くというイメージが強いですが、0~17歳までの保育を専門とする保育士は、保育所以外にも活躍がたくさんあります。児童福祉施設(保育所、乳児院、児童養護施設、母子生活支援施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター)や、児童福祉施設以外でもさまざまな形で保育士が活躍しています。幼稚園での預かり保育や学童保育(放課後児童クラブ)、幼児教室、病院などでも保育士のニーズが高まっています。
保育士として働くためには、「保育士資格の取得」と「保育士登録」が必要です。保育士資格を取得をする方法は2つあります。1つは、大学・短大・専門学校などの指定保育士養成施設に通い卒業する方法。もう1つは、保育士試験に合格する方法です。指定保育士養成施設に通う場合は、必要単位を取得し卒業すれば資格が取れますが、2~3年かかります。保育士試験で資格取得を目指す場合は、2年に1度の保育士試験に合格できれば短期間で資格取得をすることも可能ですが、全国平均合格率が20%前後の難関試験であり、合格するまで何年もかかる場合があります。今現在、保育士資格は一度取得すれば生涯有効で更新などの必要がありません。