託児所や企業内保育所、学童保育所など保育園以外でも保育士の仕事の幅は広がっており、専業主婦や社会人として働きながら保育士を目指す方が増加しています。しかし、興味はありつつも限られた時間や予算の中では通学が難しいという方も多く、そのような方が保育士になるひとつの方法として通信講座があります。ここでは、保育士の通信講座の特徴やメリット、勉強のコツなどをご紹介します。
保育士になるための一般的な方法は、専門学校や大学、短大の保育士専門課程である保育士養成所に通学することです。これらの学校を卒業すると、保育士免許が取得できます。しかし、比較的授業料が高い傾向にありますし、社会人として働いているなどの理由で通学時間がないという方などは、通信教育で勉強して保育士を目指すという方法もあります。通信講座を受講した場合、コースが終了したあとに保育士の国家試験に合格しなければなりません。試験は毎年1回各都道府県で開催され、合格率は10〜20%程度と低いものの、受験者は毎年増加傾向にあります。
通信講座では、社会福祉や発達心理学、保健原理など養成学校とほぼ同じ内容のカリキュラムが組まれていて、保育実習もあります。国家試験はマークシートの筆記が8科目、実技は自分で2科目を選択する仕組みで、1度合格した科目は3年間有効になります。通信講座の特徴は、国家試験の合格に的を絞ったカリキュラムのため効率的な勉強ができるという点です。教材のなかにはDVDなどを使って実技試験対策を分かりやすく解説しているものもあるなど工夫が凝らされています。
通信講座は、時間や場所を問わず自分のペースで勉強ができるので、仕事に就いている方や専業主婦などの通学が難しい方でも学ぶことができます。通勤電車の中や休憩時間、家事の合間に時間を見つけて勉強できます。教材は通信講座によって異なりますが、教科書やCD、DVDなどを使用してひとりでも取り組みやすい工夫が施されたものになっています。手元の教材で、繰り返し復習ができるのもメリットのひとつでしょう。通学の場合、授業料が年間50〜100万円以上必要になる養成学校が多いのですが、通信講座では5〜10万円程度で済むため、費用面で通信講座を選ぶ方も増加しています。さらに一定の条件を満たす必要がありますが、「教育訓練給付制度」を利用すると費用の20%(上限10万円)が返金されますので、受講する際はぜひ活用しましょう。ただし、厚生労働省が指定する講座を受講して終了しなければ、この制度は利用できませんので注意してください。また、勉強中に分からない問題などがあった時にはメールやFAX、電話で質問に対応してくれるところもあります。質問をしてから回答されるまで多少時間がかかるケースもありますが、1対1で細やかに指導してもらえる点も、通信講座のメリットとして挙げられるでしょう。
通学とは違い、通信講座はひとりで勉強しますから自分のペースでできる反面、自分でスケジュール管理ができないと継続することが難しいともいえます。自宅で勉強する場合、テレビやパソコンなどの誘惑も多いですから、決めた時間は集中して勉強するという強い意志が必要になります。保育士の国家資格取得という目標を忘れずに、モチベーションを高く持って臨みましょう。勉強のスケジュールを立てる際には、余裕を持って1年前には勉強を開始した方が良いでしょう。保育士国家試験の筆記試験は8月、実技試験は10月に行われるので、それを見据えたスケジュールを立てる必要があります。また、試験合格までのサポート体制がしっかりとしている講座を選ぶことも大切です。講座によっては、たとえ試験に不合格になってしまった場合でも、最長3年間は無償で相談できるサポートを行っているようなところもありますので、費用やカリキュラム内容とあわせて事前に調べておくと良いでしょう。通信講座ではひとりで目標に向かう孤独や不安を感じやすいものですが、講座受講者間のコミュニケーションをサポートしている講座もあるようです。そのような機会に積極的に参加して、不安を解消して前向きな気持ちを持続させることもできるのではないでしょうか。
保育士を目指したくても通学ができないから、と諦めていた方は、保育士の通信講座を活用してみてはいかがでしょうか。通信講座独自のサービスを最大限に活かして、保育士国家試験の合格に向けて役立ててみましょう。