赤ちゃんから小学校に入学する前の子どもまで、小さな子どもを預かる施設「保育所」。大きく分けて認可保育所と認可外保育所があることをご存知の方も多いことでしょう。仕事に行くため、もしくは介護や妊娠といった事情で保育所を選ぶ際に、認可であるか認可外であるかを重視するケースもあるようです。では、認可と認可外、一体何が違うのでしょうか。そこで、認可保育所と認可外保育所、それぞれの特徴についてご説明いたします。
認可保育所とは国が決めた基準を満たしている保育所のことで、認可をしているのは各都道府県知事です。公立や私立がありますが、認可であればどちらの保育料も各自治体が決定しているため保育料に違いはありません。では国が定めた基準には一体どんなものがあるのでしょうか。主なものとして、乳児または園児の人数に対する保育士の人数、乳児や園児1人当りに必要な広さ、屋外遊技場や調理室の有無、開所時間などが挙げられます。例えば、0歳児3人に対し保育士1人が必要、1歳児や2歳児であれば6人に対して保育士1人が必要といったように年齢別に具体的な基準が設けられています。また保育室の広さは0歳児や1歳児1人当たりに対し3.3平方メートルの広さが欠かせません。屋外遊技場や調理室も必須で、基本的な開所時間は11時間までと決められています。しかし、基準となっているのは施設側の要素だけではありません。入所する側も一定の条件を満たしておく必要があり、自治体によって多少違いはありますが、例えば就労日数が月に15日以上で1日当たりの就労時間は4時間以上といった条件や、病気や怪我、妊娠によって日中保育が難しいといった条件などが見られます。入所申し込みの際に、就労証明書や戸籍謄本などが必要になる場合が多いことも特徴と言えるでしょう。
国が決めた基準を満たしている認可保育所に対し、基準を満たしていない保育所が認可外保育所です。運営は民間企業や個人によって行われている場合が大半で、保育料は各保育所で自由に決めることができます。24時間営業していたり、マンションの1室などを利用して保育を行っていたりと自由な形で運営を行っていることが特徴でしょう。そのため、少人数制でアットホームな雰囲気のある保育所や、園庭がないため公園に多く出かける方針をとっている保育所、英語や音楽といった専門的な教育に力を入れている保育所など人気がある認可外保育所も珍しくありません。土日祝日も営業を行っている保育所も多いため、土日祝日に仕事をしなければならない家庭にとっても認可外保育所は心強い味方となることでしょう。また家庭側の条件がほとんどいらないことも、認可外保育所のメリットです。認可保育所のように保護者の就労日数や就労時間が決まっていませんし、家庭内の状況などの条件を満たす必要がないため、誰でも気軽に入所申し込みをすることができます。
ニュースや新聞などで「待機児童」という言葉を見たり、聞いたりしたことがある人も多いことでしょう。待機児童とは保育所への入所を希望しているにも関わらず、入所ができない状態にある乳幼児や児童のことです。子どもを預けることができないため保護者が働くことができず、社会的に大きな問題となっています。この待機児童の原因の1つに認可保育所の少なさが挙げられていますが、なぜ認可保育所を増やしこの問題を解決しようとしないのでしょうか。それは、認可保育所の運営費を自治体が多く負担していることに理由があります。割合にすると保護者が負担している保育料は25%ほど、残りの75%ほどは自治体が負担しているため、認可保育所を増やせば増やすほど自治体に大きな負担がかかってしまうのは言うまでもありません。そのため中には基準を満たしているにも関わらず、認可されない認可外保育所も見られます。しかし、待機児童を減らすために新しい取り組みを試みたり、予算を増やそうとしたりする自治体も見られるようになってきました。少しずつですが保育所の在り方や制度も変わってきているため、新しい情報をこまめにチェックすることも大事でしょう。