幼い子供の習い事や保育のカリキュラムとして、年々人気が高まっているのがリトミックです。リトミックの資格や経験があると、保育系の就職には有利になることでしょう。たとえ資格がなくても、リトミックについての知識を蓄えておくと保育の現場で役立ちますよ。
リトミックは、スイスで生み出された音楽教育法です。音楽と体の動きを融合した教育スタイルで、音楽のリズムに合わせてさまざまな動作を行います。音楽教育というと、歌や楽器演奏などを楽譜通りにできるように練習を積むイメージがありますよね。また、ダンスやリズム体操などは、決まった振り付けがあり、皆がそろってできることが重視されます。一方、リトミックでは聴いた音楽をそれぞれが感じるままに自由に表現します。音楽を聴く集中力やイメージを膨らませる想像力を養い、調和のとれた心身が作られます。歌ったり楽器を演奏したりできない低年齢のうちからも、音楽を楽しみながら音感・リズム感・拍子感といった基礎を身に着けられるのが良い所でしょう。言葉や数といった生活に必要なことも、音楽のリズムに合わせて無理なく覚えることができます。
リトミック指導の方法を学ぶには、大学や専門学校の専門コースやリトミック専門の養成センターに通う方法があります。国家資格はありませんが、民間団体やNPO法人などの養成講座を受けることにより、認定資格を得ることができます。でも、資格がなくてもリトミックを行うことは可能です。リトミック関連の書籍や楽譜もたくさん出版されているので、自分で勉強してみてはいかがでしょうか。音楽教育なのでピアノは弾けたほうが良いですが、テクニック的に上手である必要はありません。子供たちの様子を目で追いながらピアノとリンクさせていくので、即時性や動きに合わせた表現力があると理想的です。即興演奏が得意であれば、言うことなしですね。何よりも大切なのは、保育士自身が音楽を心から楽しむことと、自由な発想力です。子供たちと一緒に音楽を楽しみながら、枠にとらわれずアレコレ発想をふくらませてみましょう。
1歳ごろまでのベビー期は、音楽の心地良さを感じる時期。大人の膝に座らせて、歌声に合わせてゆらゆら揺れる活動はいかがでしょうか。やさしい歌声とスキンシップで、情緒の安定が得られます。2歳になると、物まねが上手になります。ピアノの低い音でゆっくりと歩くぞうさん、高い音ですばしっこく走るねずみさんなどを表現して、動物になりきって遊んでみましょう。ピアノのペースに合わせて歩いたり走ったり、ピアノが止まったら動きもストップするなどの動作は、心身をコントロールする力を養います。3歳は、まねすることから想像することへとステップアップする時期です。3拍子、4拍子と異なる拍子のリズムに合わせて、おそうじごっこをしてみましょう。また、「りんご」「ひこうき」「ビスケット」など、言葉のリズムを打つことでいろいろなリズムに親しむことができます。
4歳になると、音の高低もしっかり判断できるようになります。柔らかいスカーフを用意して、ピアノの音程に合わせて上下に動かす活動を取り入れてみましょう。スカーフがふわふわ揺れる様子や、高く投げてゆっくり落ちてくる様子は、子供の感性に働きかけます。使用した後は、折りたたんで先生に手渡すまでを活動の流れとするといいですね。手先の発達も促しますよ。5歳児は自分の気持ちを言葉で表せるようになり、精神面で安定してきます。ひとつのことをこなしながら別のことを考えるなど、複数同時思考が可能となります。集中力を高めるには、先生が叩いた長めのリズムを記憶させてから、真似させてみましょう。それができるようになったら、リズムカノンに挑戦してみてください。リズムカノンとは、先生が叩いたリズムを1小節遅らせて子供に叩かせる、いわばリズムの追いかけっこです。記憶しながら動作を行う、複数同時思考を生かした活動です。