児童指導員とは、児童家庭支援センターや医療型児童発達支援センターなどといった児童福祉施設で0歳~18歳までの子供の世話や教育を行う仕事です。児童福祉施設には、家庭に問題があるか本人が障害を持っている子供たちが入所してきます。児童指導員は彼らと寝食を共にし、日常生活をあらゆる面からサポートしていきます。例えば、幼児期には遊びの楽しさや読み書きの基礎を教え、中高校生になると就職や進学のアドバイスを行うといった具合です。また、離れて暮らしている親との関係を取り持つのも児童指導員の大切な仕事です。
児童指導員になるには、任用資格を取得しなければなりません。これには資格試験があるわけではなく、一定の条件を満たせば取得とみなされます。その条件は以下の通りです。
【1】 国が指定した養成施設を卒業する。
【2】 4年生の大学か大学院で教育学・心理学・社会福祉学・社会学のいずれかを専攻し、その学校を卒業する。
【3】 小・中・高のいずれかの教員免許を取得する(教科は不問)。
【4】 高校を卒業してから児童福祉の仕事に2年以上従事する。
【5】 学歴に関係かなく、児童福祉の仕事に3年以上従事する。
【6】 社会福祉士の資格を所得する。
【7】 精神福祉士の資格を所得する。
【1】~【7】の内、ひとつでも当てはまるものがあれば、児童指導員になる資格を得られます。
児童指導員を目指すには、まず高校卒業後に上記の【1】~【7】の中のいずれかの条件を満たす必要があります。その中でも実際に多いのが、【1】か【2】です。【1】の養成施設とは、児童指導員養成コースのある専門学校のことで、最短で児童指導員になりたいのであればこの選択肢がおすすめです。【2】は4年生大学卒業の学歴も取得できるので、児童指導員になれなかった場合もつぶしが効くのが利点となります。また、社会福祉士や精神福祉士の資格を所得するには福祉関連の大学や短期大学を卒業する必要があり、精神福祉士の場合はさらに、資格試験に合格しなければなりません。
他にも、高校を卒業後した後に2年間児童福祉施設で働いてから児童指導員になるという道もありますが、これは非常に困難です。なぜなら、これらの施設の求人には、保育士資格や教員免許取得の方希望とか子育て経験ある方歓迎などとなっている場合がほとんどで、資格や経験なしで採用されるケースは非常に少ないからです。
児童指導員になる資格を得た後は、児童福祉施設関連の求人を見つけて採用試験を受けることになります。職場としては、児童発達支援センター、児童家庭支援センター、障害児入所施設、乳児院などがあるので、求人を細かくチェックして機会を逃さないことが大切です。
子供好きな人は、児童指導員の資質があると言えます。ただ、ひとりの子供は愛せても、それが集団になるとうんざりするという人もいるので、全員を平等に愛せるかが問われます。基本的に世話好きで社会貢献を行いたいと思っている人であれば、この仕事に向いています。
また、コミュニケーション能力が高く、人の気持ちがくみ取れるかどうかも重要なポイントです。児童福祉施設に訪れる子供や親は心に大きな悩みを抱えているものなので、意思疎通がうまくいかないとトラブルにつながる場合があります。
さらに、子供と信頼関係を築く能力も必要です。これは、何も大げさなものではなく、秘密を他人に話さない、約束は何があっても守るといった基本的な人間性が身についているかどうかです。信頼できる大人だと子供が認識すれば、心の壁がなくなって彼らへの指導もずっとやりやすくなるでしょう。
児童指導員のやりがいは、何といっても子供たちの成長に直接関わっていけるところです。対象は0歳から18歳までになるので、場合によっては、学校の先生などよりずっと長い期間子供に寄り添うことになります。それだけに、彼らの成長に対しては、まるで実の親のような歓びを実感できます。子供が屈託のない笑顔を見せた時などは、この仕事をやっていて本当によかったと思える瞬間です。
また、厳しい問題に直面している親の助けになった時にも仕事の充実感が得られます。社会の最小単位は家族ですが、そこに幸せの種をまければ社会全体の幸福へとつながっていきます。そうして、自分は決して小さくない社会貢献を行っているのだと自覚できれば、他には代え難いやりがいを感じるはずです。