保育士になるためにはもちろん資格を取得していなければいけませんが、資格があるだけでは保育士として実際に活動することはできません。一般の企業に入る場合と同じで、就職活動のようなことをしなくてはならないのです。保育士採用試験というのは、保育士たちの就職活動の一環で、保育士として活動するための第一歩となります。自分の希望する保育施設で働けるように、しっかりと保育士採用試験の対策を取りましょう。
保育士採用試験と一口に言っても、まず公立と私立とで試験の内容や採用までの流れは異なります。公立の保育園は地方役場と同じで、採用されれば地方公務員ということになりますから、保育士としての専門知識や実技能力を求められるだけでなく、一般教養の試験が行われるという点に大きな特徴があります。一方、私立の場合は一般の企業に就職するのと同じになり、求人案内に応募をしたあと面接や実技試験を受け、合格すれば採用されることになります。ただ、私立の場合でも教養試験の受験が必要となることもあるので、やはり最低限の対策は打っておく必要があるでしょう。保育士採用試験の主な内容としては、基本的には保育士として最低限の必要な知識を備えているかどうかを判定する試験がほとんどです。専門知識や実技能力はもちろんのこと、論作文試験や面接試験などもあり、それぞれに対策が必要となるでしょう。
☆1次試験の内容と心得
1次試験は主に教養試験と専門試験とが用意されています。教養試験においては、まず一般知能と一般知識について審査されることになります。一般知能試験とは、現代文や英文の読解力や数的推理力、暗号を解く判断推理や数字や図形から問題を読み解く資料解釈など、知識とは違うもともとの知能の質をはかる試験のことです。一方、一般知識試験では政治経済や歴史、数学などのいわゆる学校で習うような知識についての試験が行われます。教養試験は特に範囲が幅広く、さまざまな分野を網羅しておく必要があるので、早いうちから計画を立ててしっかりと勉強しておくことが大切です。これに対して、専門試験は保育や子供についての知識が問われる試験となっています。保育原理や教育原理など、保育士や教育者としてのあり方が問われる筆記試験問題や、実際の保育場面を想定した保育実習などが専門試験として実施されます。こちらも試験範囲が幅広いため、早いうちから勉強しておく必要がありますが、それ以上により深い知識を要求される問題が多く出題されるため、保育や福祉に関する種々の制度や国の法令などもしっかりと確認しておくことが大切です。
2次試験は論作文や面接試験など、より柔軟性が求められる試験がたくさんあります。まず論作文試験についてですが、提示されたテーマについて1000文字程度で論述するというタイプの試験となります。論作文試験はとにかく出題されやすいテーマを絞って対策を立てることが必要です。保育士採用試験なので保育に関するテーマが多い一方、保育とはあまり関連のないテーマが出題されることもあるので注意しましょう。また、論作文試験では書き終わった後にしっかりと内容をチェックすることが大切です。誤字脱字はないか、内容があべこべになっていないかなど、最終チェックをしっかり行うことでケアレスミスを防ぐことができます。面接試験では、主にコミュニケーション能力や仕事に対する意欲をチェックされます。面接ではどれだけその職場で働きたいかという意欲やその施設を志望した動機などを特に追及されるので、聞かれたときにすらすらと答えられるように準備しておきましょう。最後に実技試験についてですが、実技試験ではピアノや本の読み聞かせなどを通して子供との接し方を審査されます。試験内容は自治体などによっても違ってきますが、実技試験ではピアノなどの技術面だけでなく、どのように子供と接しているのかということを見られているので、子供の目線に立った立ち居振る舞いができているかを考えることが大切です。