就職活動では、初期段階で徹底した自己分析を行なうことが欠かせないといえます。そんなことよりも先に、企業の条件を調べたり、業界のトレンドをリサーチしたりするほうが大切だと考える人もいるでしょう。しかし、本当の意味で満足のいく就職活動を行い、あなたが納得できる仕事を手にするためには質の高い自己分析が最優先事項です。今回はその理由と方法を説明します。
どうして就職活動に先立って、自己分析を行なう必要性があるのでしょうか。就職活動において大切な考え方は、「どこに就職するか」以上に「どうして就職するか」といえます。「お金を稼ぐため」、「生活のため」という答えにも一理ありますが、それだけでは仕事を長続きさせ、辛いことを乗り越えて成長していくのは難しいでしょう。自分が心から願い、やりがいを感じることのできる仕事は何なのかを明確にして、理念に共感できる職場で働くために必要なのが自己分析です。いくら条件の良い企業でも仕事内容が自分に合っていなかったり、企業理念が自分の心からかけ離れすぎていたりしたらモチベーションを保てなくなります。自己分析とは、あなたが働く理由を深く追求し、あなたの心の声、自分が一番大切にしたい価値観に耳を澄ませるプロセスなのです。
しかし、多くの人が「自分の本当にやりたいこと」と問われてもすぐには返答できないことでしょう。それでも焦らずにじっくりと自分自身に向かい合ってみる根気が肝心です。方法としては、これまでの人生で自分が努力してきたこと、成し遂げてきたことを時系列順に振り返ってみることです。少年時代は部活、勉強、どんなことに打ち込んできましたか。年齢を重ねるにつれ、どんなことを積極的に行動したいと思うようになりましたか。これまでの人生のイベントで最も印象に残っていることは何ですか。そんな経歴をできれば文字にして思い出すのがいいでしょう。バラバラな記憶も、よく考えれば一本の道筋をたどっていることがわかるはずです。それが、あなたという人間の成長の跡であり、あなたが人生に望んでいることだといえるでしょう。
もちろん、人生にはいいことばかりではありません。成功の一方で失敗の記憶も蘇ってくるのではないでしょうか。しかし、その両方があなたを構成する重大な要素です。成功体験とは、あなた自身の長所を確認するきっかけになります。成功にどんなふうに関わってどんな役割を担ったのか、それを分析することはあなたの就職先を見定めるときに大きな判断材料になります。逆に失敗体験はあなたの短所を自覚し、自分の苦手な分野を知る判断材料となるでしょう。いずれの体験からも目を逸らさずに、細かく振り返ることで自分自身を深く知ることができます。
自己分析が一通り済んだら、あなたの就職活動におけるテーマを決めましょう。テーマとは、単に志望する企業を決めたり、勤務地を考えたりするだけではなく、あなたが「どんなことをやりたいか」という大きな目標のことです。人のために尽くす仕事に就きたいのか、自己表現ができる仕事がしたいのか、修得した技能を活かせる仕事を探すのか、就職活動の軸を固めましょう。そのうえで、企業をリサーチし、年収や勤務地などの条件を絞り込み、心に残る企業があればエントリーしていきます。表面的な条件の良さや企業ブランドに踊らされることなく、自分の願いと経験に基づいた就職活動を展開できれば、将来の入社先でもやりがいを持って働くことができるでしょう。このように、就職活動における自己分析は高い重要度を占めているのです。