いくほ : 先日ネットを見ていたら、福岡市が、「潜在保育士」の就職支援の資金の貸付事業を始めたというニュースを見ました(※1)。
ここがみ : 待機児童問題の解消に向けて、福岡市での保育士の人材確保のための施策ですね。出典元である福岡市のサイトも見てみましょうか(※2)。具体的にはどのような内容でしたか?
いくほ : えーと、「未就学児がいる潜在保育士への保育料の一部貸付」と、「潜在保育士への就職準備金の貸付」に分かれていて、併用もできるみたいですね。
ここがみ : ほうほう。
いくほ : まずは、「未就学児がいる潜在保育士への保育料の一部貸付」の方ですけど、これは、保育士として、福岡市内の保育所等へ新たに勤務する人、または復職する人に対して、保育料の一部を貸し付けるもので…、2年間保育所等に勤務すると返還が免除されるみたいです!
▼未就学児をもつ保育士に対する保育料の一部貸付(福岡市)
保育士として,福岡市内の保育所等へ新たに勤務する又は復職する者に対し,保育料の一部を貸し付けます。
【貸付対象者】
(ア)又は(イ)いずれかの要件を満たす者で,保育士として週30時間以上勤務する者
(ア) 未就学児をもつ保育士で保育所等に新たに勤務する者
(イ) 保育所等に雇用されている者で,産後休暇又は育児休業から復職する者
【貸付期間】
勤務を開始した日から起算して1年間
【貸付額】
未就学児の保育料の半額とし,月額27,000円を限度
【その他】
【1】 2年間保育所等に勤務した場合は返還を免除
【2】 貸付利子は無利子
【3】 連帯保証人1名が必要
ここがみ : 子育て中の保育士さんもいらっしゃいますよね。待機児童が社会問題化している状況下では、実は、保育士さん自身も子どもを預けるところがなくて働けないという事態も起きているんです。
いくほ : 私の友人からもそんな話を聞いたりしますね。保育園からも働かないかと熱心に誘われているみたいなんです。子どもが預けられないというのもありますし、子どもを預けてまで保育の仕事をするべきか…、とか悩んでいる人もいるみたいです。
ここがみ : そのあたりは正しい選択肢というのがあるのではなく、個人の価値観や考え方次第ですよね。が、家庭の経済状況によって共働きをしないといけないという家庭はあるでしょうし、子育ても仕事もした方が精神的に安定する、という方もいるでしょう。そんな働きたい保育士さんが就職するなら、この保育士不足の現状では、一般企業ではなくぜひ保育施設に!ということでしょうね。
いくほ : もう一つの「潜在保育士への就職準備金の貸付」は、保育士として、新たに保育所等へ勤務する者に対して、就職に必要な資金(就職に伴う転居費用や賃貸物件の礼金等)を貸し付けるもので…、こちらも2年間保育所等に勤務すると返還が免除!
▼潜在保育士に対する就職準備金の貸付(福岡市)
保育士として,新たに保育所等へ勤務する者に対し,就職に必要な資金(就職に伴う転居費用や賃貸物件の礼金等)を貸し付けます。
【貸付対象者】
(ア)~(ウ)全てを満たす者で,保育士として週30時間以上勤務する者
(ア) 保育士登録後1年以上経過した者
(イ) 以下の施設又は事業を離職後1年以上経過した又は勤務経験が無い者
・保育所
・幼保連携型認定こども園
・家庭的保育事業
・小規模保育事業
・事業所内保育事業
・幼稚園
(ウ) 保育所等に新たに勤務する者
【貸付期間】
同一貸付者に対し1回限り
【貸付額】
200,000円以内
【その他】
【1】2年間保育所等に勤務した場合は返還を免除
【2】貸付利子は無利子
【3】連帯保証人1名が必要
ここがみ : 各自治体、予算を割り振るにあたって、保育対策の優先順位が上がっているなと感じられますよね。
いくほ : 助かる人もいる事業だなと思うんですけど、このような政策を行っているのは福岡市だけなのかしら?
ここがみ : 他の自治体でも実施しているところは結構ありますよ。もともとは国が発表している事業で、都道府県が実施主体となっています。実施しているかどうかは自治体によりますし、インターネット上に公表している自治体もあればそうでない自治体もあるので、直接自治体に聞いてみると良いと思います。
いくほ : 自分の地域でもやっているか調べてみようっと。あ、もう受付が終わっている地域もありますね。こういう情報って潜在保育士にちゃんと回ってきているものなんでしょうか。全国一覧でまとまっているといいのになあ。
ここがみ : そうですね。周知にも予算がかかりますからね。ほかにも、保育学生対象の「保育士修学資金貸付制度」や、保育事業者を介した「保育士宿舎借り上げ支援制度」等を創設するなど、保育士確保のために試行錯誤している状況です。平成28年度の国の予算には「保育補助者雇上強化事業」が新たに創設されています。機会があれば、ここでもご紹介していきますね。
※1)毎日新聞|「潜在保育士」就職を支援 資金貸付事業開始 2年間勤務で返済を免除/福岡
※2)福岡市|保育士人材確保事業(保育士への資金貸付)の実施について