高齢化社会が進むにつれて介護福祉士の必要性が高まっています。今の時代に求められている介護福祉士とは具体的にどのような仕事をするのかを知っていますか。大きく分けると、身体介護、生活サポート、メンタルケアの3つです。
身体介護は着替え、食事、入浴、排せつなどの日常生活における身体的な補助あり、生活サポートとは買い物、食事の準備、部屋の掃除など、日常生活全般の補助を意味します。また、日常での会話や娯楽の提供による被介護者のメンタルケアも介護福祉士の仕事には欠かせません。これらが介護における基本的な仕事です。
資格を持ってなくても介護の仕事を行うのは可能です。しかし、その場合は、行える仕事の範囲は限定されてしまいます。買い物や掃除などの生活サポートはできても、食事や入浴の補助などといった身体介護は法律で禁止されているのです。そこで、介護の仕事を希望する人の多くは介護福祉士の資格の取得を目指すことになります。
介護福祉士は国家資格であり、取得していると介護職のプロフェッショナルだという証になります。また、同様の資格として、介護職員初任者研修があります。これを取得すると現場において介護福祉士と同様の仕事を行うことが可能です。ただし、就職に有利なのは国家資格である介護福祉士の方であり、介護職員初任者研修だけではパートタイマーとしてしか雇用されない場合もあります。
介護福祉士になるためには国家資格を取得する必要がありますが、その前に試験の受験資格を得なければなりません。その手段のひとつが、3年間の実務経験及び介護職員実務者研修の受講です。
そして、もうひとつは国が指定する養成施設(大学、短期大学、専門学校)を卒業することです。従来は卒業した時点で自動的に介護福祉の資格が得られていましたが、2022年度の卒業生からは資格試験の受験が義務付けられるようになります。また、2017年度から2021年度の卒業生に関しては、受験をしなくても介護福祉士の資格は得られます。ただし、卒業から5年以内に試験に合格するか、介護職に連続して5年以上従事しないと資格がはく奪されてしまうので注意が必要です。
就職先は、養成施設に通うのであれば学校経由で探す方法がありますし、ハローワークや福祉人材センターを利用する手もあります。また、最近では、インターネット経由で求人を探すケースも増えています。
介護福祉士に最も必要なのは、コミュニケーション能力です。被介護者との意思疎通がうまくいかなければ満足な介護を行うことはできません。また、人と接していてもあまりストレスを感じないというのも大切な適性のひとつです。例えば、被介護者やその家族の中には、ストレスをため込んでいて介護福祉士にイライラをぶつけてくる場合もあります。しかし、それをしっかりと受け止めつつも冷静に対処できないようでは、仕事のストレスに押しつぶされてしまいます。
また、意外に重要なのは体力です。体の不自由な高齢者や障害者の体を持ち上げるには、想像以上の体力を必要とします。実際、無理をして腰を痛めてしまった介護福祉士も少なくありません。介護福祉士を目指すのであれば、体はある程度、鍛えておいた方が良いでしょう。
介護福祉は大変な仕事です。体を満足に動かせない高齢者や障害者を介護するのは体力的にもきついものがあります。そして、それ以上に大変なのが、認知症や精神病によってコミュニケーションが成立しづらい方の介護です。こちらの意図が伝わらず、介護をしようとしても抵抗される場合はさすがにストレスを感じてしまいます。しかし、それでも介護福祉士の仕事を続けられるのは、高齢化社会において大きな社会貢献をしているのだという誇りがあるからです。
また、例え認知症や精神病の方でも一生懸命介護を続けることで、こちらに対して笑顔を向けてくれる時あります。そうした瞬間は本当に報われた思いがするものです。自分の仕事が相手の喜びにつながるのは何事にも代えがたいものです。