女性の社会進出、仕事と家庭の両立のためには、育児をサポートしてくれる保育制度の充実が必要不可欠です。現実は保育士不足や待機児童が問題になっており、働きたくても働けないというお母さんが多くいます。そんな方たちを支援するため、保育に携わる人材を増やす制度が2015年に始まりました。「子育て指導員」とはどんな仕事なのか、どうやったらなれるのかなどを見てみましょう。
2015年4月に国の認定制度である「子ども・子育て支援新制度」が開始されました。この制度は小学校就学前の児童を対象に、待機児童の問題を解消し、保育や子育ての支援を拡大することを目指しています。消費増税の一部を活用したサービスということで話題になりました。自治体が主導となり活動することで、各地域のニーズに応えた人材の育成やサービスを提供することができます。保育士不足の現状の下、サービスの拡大に伴い、ますます保育士以外の人材確保が必要になってきています。そこで、子育て経験のある専業主婦を中心に、地域の子育て支援の担い手となる人材「子育て指導員」を育成する運びとなりました。同時に出産・育児のために一度家庭に入った女性が、再び育児の経験を生かして社会で活躍できる事も目標に掲げられています。
子育て指導員は専門資格を持って働くわけではないので、あくまで保育士や専門職の方のサポートや補助が仕事になります。仕事の場は保育所や学童保育での保育活動サポート、障害児支援活動、育児相談の窓口などです。また育児のサポートを受けたい人と行いたい人が会員になって助け合う「ファミリーサポートセンター」での提供会員としての活動も挙げられます。実際に育児経験のある人が対象なので、子どもを預けるお母さんも色々と相談ができて心強いですね。「子ども・子育て支援新制度」では、19人以下の子どもを預かる「小規模保育」、数人の子どもをマンションなどで預かる「家庭的保育」、企業の保育所などを充実させようとする内容が盛り込まれています。それに伴い、子育て支援指導員のニーズも高まり、働く場もどんどん増えているようです。
子育て指導員になるためには専門的な資格は必要ありません。しかし、親御さんが安心して子どもを預けられるように、事前にしっかりとした研修制度が用意されています。研修は各自治体によって行われ、基本研修とコースごとの専門研修を組み合わせて実施されます。専門コースは「放課後児童コース」「社会的養成コース」「地域保育コース」「地域子育て支援コース」の4つに分かれており、各自希望のコースを選択できます。基本研修は8科目8時間行われ、専門コースは5〜9科目5.5〜24時間とコースによって変動します。また、研修終了後も随時必要な知識習得のためのフォローアップ研修が実施されます。関心がある方は、お住いの自治体に問い合わせてみましょう。
保育士の仕事は指定の学校を卒業する、もしくは国家試験に合格した人が就ける仕事です。子育て指導員は事前の研修は受けるものの、資格は保有していないので保育士の代わりになることはできません。あくまで保育士の補助・サポートをする保育の担い手です。では、子育て指導員として働くことのメリットはどこにあるのでしょうか?まず挙げられるのが、保育士としての資格や経験がない専業主婦の方でも、研修を受ければなることができる点です。数年もの間学校に通ったり、難しい国家試験を受験したりすることなく、育児の経験を生かして働くことができるのは大変魅力的です。また、高齢者の方でも豊富な育児経験を生かして働くことができます。将来的に保育士の資格を取得したいと思えば、子育て指導員の経験が実務経験としてカウントされるのも嬉しいですね。
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