毎日子ども達と元気よく遊び、子ども達が帰れば先生の仕事も終わりでしょうか?そのようなイメージをもたれることもある幼稚園教諭ですが、実は子ども達がいない間も、日々たくさんの業務に追われているのです。ここでは、幼稚園の先生の1日の流れをご紹介していきましょう。
幼稚園にもよりますが、先生達の出勤時間は朝の7時半から8時頃です。先生用の服に着替え、園の内外の簡単な掃除、その日に行う保育の準備などを行います。子ども達が登園する前にほかの先生達と簡単な打ち合わせや、折り紙や画用紙の不足がないかなどの確認作業を行います。また、幼稚園バスに乗って登園してくる子ども達もいるので、先生達が順番にローテーションを組んで幼稚園バスに乗る場合もあります。
子ども達は朝の9時前後に登園してきます。子ども達に挨拶をして出迎え、元気かどうか顔色のチェックも行います。全員登園したのを確認したら朝の挨拶、朝の歌、出席を取ります。その後は前日までに決めておいた保育活動を行います。例えば、季節によって折り紙でどんぐりを折ったり、ちぎり絵であじさいを作ったり、運動会などの行事が近い時期であれば園庭でお遊戯やかけっこの練習を行ったりします。基本的に、保育内容が毎日同じということはなく、日々違う経験を子ども達にさせることで成長を促しています。
子ども達はランチマットを敷いたりコップを用意したり、昼食の準備を自分で行うように先生が指導します。先生は子ども達と教室で一緒にお昼を食べますが、多人数の子ども達の様子を見ながら食べるのでゆっくりと昼食を取る時間はありません。毎日のようにお茶やご飯をひっくり返してしまう子ども達もいますから、早く食べ終えて子ども達の世話をする必要があります。昼食が終わった後は走り回らないよう注意したり、机を拭くなどの後片付けの指導をしたりします。ちなみに、先生の昼食はお弁当を持参するときもありますが、給食が出されるところが多いようです。
昼食後の保育時間はあまりないのですが、それでも降園までの時間に決められたことを行います。例えば、午前の活動中に工作などがまだ終わらなかった子ども達に続きを指導する、年長児になるとひらがなの読み書きを学ばせる幼稚園も多く、午後の保育時間に読み書きの勉強を行うこともあります。鉛筆の持ち方の指導から始まり、決められたワークでひらがなを書くといった勉強を行います。降園の15分前には降園準備を行い、お帰りの歌、挨拶を済ませたら子ども達をそれぞれ園バスやお迎えに来ている保護者へと受け渡します。
子ども達が帰った後は、園内外の清掃を行います。自分の教室はもちろん、廊下やお遊戯室、トイレの清掃も行います。その後、職員室でその日に行った保育を日誌に記入し、反省会を行います。また、曜日によっては「週案」という今後1週間でどのような保育をするか、おおよその予定を立てることもあります。週案が決まった後に、具体的に1日の予定を立てる「日案」を作成し、翌日に行う保育の準備をします。このほかにも、教室の壁に貼る可愛らしい壁飾りの作成や、運動会などの行事で使う子ども達たちの小道具などを作成するのも子ども達の降園後に行います。
幼稚園の先生として実際に子ども達を預かっている時間は5~6時間程度ですが、子ども達が帰った後の仕事も含めると、園での滞在時間は8時間以上となります。子ども達と過ごす時間は楽しいものですが、保育時間中に事務作業はできませんから、降園後に落ち着いて作業を行います。子ども達と楽しく遊ぶ時間もあり、落ち着いて作業をする時間もあると考えると、幼稚園教諭の仕事は健康的に動く仕事でもあり、静かに机に向き合うこともできる数少ない仕事だといえるでしょう。