幼稚園教諭の大切な仕事のひとつに家庭訪問があります。保護者とのコミュニケーションをとることで、1年間より良い保育を行うための重要な時間であるといえるでしょう。ここでは家庭訪問の目的や注意点についてご紹介します。
家庭訪問の目的のひとつに、保護者とのコミュニケーションをとり距離を縮めることが挙げられます。担任に就いて間もない時期に行うことが多い家庭訪問は、その時期だからこそ保護者と関係性を築き、保育の連携を取りやすくできます。また、家庭の様子を知るという目的もあります。子どもが生活しやすい環境が整っている家庭やそうでない家庭など、様子を知り把握しておくことは担任にとって重要なことになります。家庭環境が過度に荒れている場合、育児放棄や虐待などの可能性も考えられます。そういう場合、速やかな対応をするためにも家庭環境を知ることは大切なのです。さらに子どもが在宅中の家庭訪問であれば、家庭での子どもの様子を知ることもできます。保育園ではいい子で頑張っていても、家庭ではわがままばかりというケースもあります。外で無理をして頑張りすぎる傾向があるなど、幼稚園では見ることができない子どもの姿を見て理解することができます。
送り迎えの際に、子どもの様子について保護者と話すことはあっても、時間的に限られた内容になってしまいます。家庭訪問であれば一定時間を割くことができるので、しっかりと子どもの話ができます。特に年少クラスの家庭では、保護者が園生活に対して不安を抱えているケースも少なくありません。だからこそ家庭訪問の際、園での様子をゆっくりと細かく伝えることで不安軽減につなげることができます。また、家庭での様子を伺うことで、子どもの特徴や本質的な部分の理解を深めることも可能です。最近では食物アレルギーの子どもも多いため、給食内容の説明や、細かい状況をヒアリングできるというメリットもあるでしょう。なかには育児について相談を受けるということもあり、保護者の話にじっくり耳を傾けられる貴重な時間なのです。
家庭訪問の際の悩みのひとつに、用意してくれた茶菓子を食べるかどうかということが挙げられます。幼稚園によっては、事前に保護者の方へお茶や茶菓子を遠慮させていただくと連絡がされる場合もあります。また幼稚園教諭側に、出されたものに手を付けないというルールを設けている園もあるようです。もしそのようなルールがなければ、話をするうちにのどが渇いてしまうこともありますから、飲み物は会話の邪魔にならないよう自然に飲むように注意して飲みましょう。何件もの家庭を訪問するときは、トイレが近くなりますので少量にしておくべきです。茶菓子はなかなか食べにくいということもあるので、紙などに包んで持ち帰るという対応でも良いでしょう。最近では、持ち帰りができるよう小分けしてあるお菓子にして配慮してくれる家庭も増えています。
一般的に家庭訪問は1家庭につき15分程度で行うものですが、込み入った話をするうちに超えてしまうことがあります。話好きの保護者になると大幅に時間を超えてしまうことも多く、たとえ、1家庭あたり数分のオーバーでも1間以上も終了予定時間を過ぎてしまうこともあるため注意が必要です。最後の家庭訪問先が予定時間より大幅にずれてしまえば、その保護者に迷惑をかけてしまうことになります。そのため、時間配分に気を付けながら1軒当たりの時間を少し短くする意識を持って訪問すると良いでしょう。重要なことはできるだけ早い段階で伝え、限られた時間を有効に使うようにしましょう。あらかじめ、確認することや伝える内容は整理しておくと時間の無駄がありません。
このように、家庭訪問は子どもが過ごす家庭環境を知り、子どもの本質を理解し、より良い保育を行えるようにするための重要な時間だといえるでしょう。
また、限られた時間の中でより多くの子どもに関する情報を得るためには、事前準備がとても大切なのです。